平成28年度発達障がいのある人に対する特別支援の充実を求める要望書

 

広島市長         松井一實様

広島市教育委員会教育長  尾形完治様             

 

 

クローバーの会(発達障がい児を持つ親の会)

                   代  表  村 主  裕 子     

 

 

要  望  項  目

 

 

1.      広島市版の発達障がい者サポートガイドを作成してください。

 

(現状)広島市のホームページや、各相談機関がそれぞれに発達障がいに関するパンフレットなどを発行し、情報発信されていますが、情報が一元化、体系化されておらず、親や当事者が必要な情報をすぐに得ることができません。

(要望)幼稚園や保育園への入園、小中高校への進学など、人生の節目に立ち現れてくる悩みや問題に対応できるよう、教育、福祉、医療機関などが連携して、具体的な支援の情報をまとめた冊子やHPを作成してください。埼玉県所沢市の「発達障がいと生きていくためのサポートガイド」を参考にしてください。

 

 

2.      子どもの多様性を認め、温かく包む学校教育を行ってください。

 

(現状)小学校では「予防的生活指導」、中学校では「問題行動対応規定」が各学校で作成され、問題行動への対応についての方針、指導内容、指導方法などが記載されているとうかがっておりますが、発達障がいの特性の理解に欠けるため、不登校になったり、学校生活に息苦しさを感じたりする児童、生徒が増えています。

(要望)指導やマニュアルの作成においては、発達障がいを持つ児童・生徒を理解するための研修を実施し、特性に配慮した具体的な対応例や合理的配慮例を示してください。学校間で対応や配慮に格差が生じないように取り組んでください。

 

 

3.通級指導教室を全ての小・中学校に設置してください。幼児対象の通級

  指導教室を各区に設置してください。

 

(現状)現在でも通級指導教室の存在を知らない発達障がい児の保護者がおり、通級指導教室の見学を申し出ても認められていません。また、全ての通級指導教室で発達障がい児に対する適切な指導法が取られているとはいえません。

(要望)通級指導教室の存在を発達障がい児の保護者全員に知らせてください。親から要望があれば見学も可能にし、通級指導教室で行う指導について十分な説明をしてください。通級指導教室の担当者の発達障がい児への指導力を高める研修を徹底してください。

 

 

4.発達障がいのある児童・生徒の不登校対策に取り組んでください。

 

(現状)「ふれあい教室」に通うことができず、家に引きこもっている児童・生徒が多数います。学校の「ふれあい広場」は指導員の勤務時間が限られており、児童・生徒がいつでも好きな時間に利用することができません。高校で不登校になった場合は、短期間で転学や退学を迫られます。

 (要望)ふれあい教室」をもっと通いやすい施設にしてください。発達障がい児・生徒に適切に対応できるよう、スタッフの専門性を高めてください。スクールカウンセラーの専門性を高めるために発達障がいに関する研修を行い、家にひきこもっている不登校児・生徒の家庭訪問を推進してください。スクールソーシャルワーカーを増員し、親の要望があれば、不登校・引きこもり・家庭内暴力・虐待などの対応に当たってください。高校で不登校になったケースでは、せめて3年間は休学できるようにしてください。

 

 

5.放課後等児童デイサービスと学校の連携を推進してください

 

(現状)多くの発達障がい児は放課後等児童デイサービスを利用しています。平成27年4月から障害福祉サービス・障害児通所支援の申請には、「サービス等利用計画」・「障害児支援利用計画」が必要になりました。しかし、計画の作成に際して学校との連携が十分になされているとはいえません。

(要望)放課後等デイサービスで適切な支援を受けるためには、子どもを取り巻くあらゆる視点(福祉・保健・教育・就労など)に立って、利用計画を立てることが重要です。相談支援専門員が中心となって利用計画を作成する際に、日ごろ教育にたずさわっていただいている先生方の視点が反映されるよう、連携を推進してください。

 

 

6. 授業、テスト、入試などにおいて、合理的配慮をうけやすい環境を整え

  て下さい。

 

(現状)子供と保護者は、合理的配慮への知識がない場合もあり、また、先生にどこまで配慮を頼んで良いか躊躇しています。いじめなどを恐れ子供自身が皆と違う配慮に抵抗感があります。

  (要望)合理的配慮の具体的な内容についての周知徹底を図ってください。すべての学校関係者に、内容が充実した研修を行ってください。特別支援教育コーディネーターが職務に専念できる体制にしてください。

 

 

7. 行政や関係機関による就学時相談を始めとする相談活動の改善をしてく

  ださい。

 

(現状)就学相談においては心理検査を行われていますが、検査結果が口頭での説明のみで、検査から解る子供の特性や、学校で特性に応じた具体的な支援を受けられるのかが解りにくい。

(要望)検査の結果を書面で教えて下さい。子供の実態に合った適切なア

ドバイスが受けられるように、発達障がいの専門家に就学前相談をお願いします。

 

 

8. 特別支援学級の職業コースへの入学、高等学校の発達障がい児コースの

  新設など社会に巣立つ直前の教育条件整備を早急に行ってください。

 

(現状)知的に遅れがなくても勉強の方法が合わない為、学力が低く進学が困難です。又、学力が高くても、その特性から学校になじめず、不登校から退学になるケースもあります。

 (要望)発達障がいの特性を理解し、その才能を生かした教育を受けられる高校を望みます。発達障害の子供は希望があれば特別支援学校に入学出来るようお願いします。高校を卒業後も進学、又は就職へとサポートしてください。