発達障がい(LDADHD・自閉症)のある人に対する特別支援の充実を求める要望書

 

 

広島市長    松井一實様

こども未来局長 藤田典子様

健康福祉局長  糸山 隆様

 

                                               クローバーの会(発達障害児を持つ親の会)                                                        代  表    村  主  裕  子

 

 

 

 

            要   望   項   目

 

 

1.    発達障害者支援センターの拡充と機能の充実を行ってください。

広島市子ども療育センターの建て替えを待つまでもなく,広島市に在住する発達障がいを持つ人すべてが,発達障害者支援センターが現在行っている相談支援,発達支援,就労支援,啓発,研修を受けれるよう,大幅な人員増を行ってください。

新たに自立・生活支援(子育て支援・一時保護),居場所作り,ネットワーク作り,人材養成,活動場所提供等の取り組みを始めてください。

また、 DV等に対応する部署を設け,児童相談所等と連携を取りながら,問題解決に取り組んでください。

 その為に,迅速に機能的に対応できる十分なスペースと設備及び必要な職種の人材を確保してください。 

 

 

 

2. 発達障がいの早期発見のために、5歳児健康診査を実施してください。

乳幼児健康診査制度に,5歳児健康診査を加えるとともに,1歳6か月児健康診査・3歳児    健康診査の充実を図ってください。

 乳幼児健康診査制度を支える,子どもの発達に詳しい医師や保健師などの専門家を養成してください。

5歳児健康診査では,「5歳児発達相談のお知らせ」の用紙を保護者に配布するのではなく、保護者に向けた早期発見につながる情報を提供したうえで、保護者から聞き取りをしてください。 

また、事前に,幼稚園・保育園にアンケートを実施し、障害が疑われる子や気になる子などを把握してください。発達障がいの疑いのあるケースについては,速やかに医療機関と連携を取り,事後相談(子育て支援,心理発達相談,教育相談)とセットで進めてください。また保護者には丁寧な説明を行い,発達障がいについての説明や,相談機関,医療機関などの案内のあるリーフレットを配布し,専門機関への受診へつながるような声掛けを行ってください。

 

 

3.療育センターの迅速な医療体制と療育の充実を図ってください。

発達障がいを持つ子どもが,できるだけ早期から,運動機能や言語・コミュニケーション能力や社会性を高めるための療育を受けられるために,広島市子ども療育センターや西部療育センター及び北部療育センターの医師や臨床心理士,作業療法士,言語聴覚士,保育士などの増員を行ってください。

療育の対象年齢を18歳まで引き上げ,期間を区切ることなく,何度でも必要な療育を受けられるようにしてください。

予約から受診までが1か月を超えることがないよう,医療事務員の配置や電子カルテ化を早急に行ってください。

 

 

 

4.発達障がい者の就労の促進を行ってください。 

発達障がい者は,環境が整えば(働き方や周りの人との関わりを指導するジョブコーチや,本人の能力や特性を生かした職種の選択など,就労の支援があれば)長く安定的に就労できる人がほとんどですが,障がいがある事が分かりにくいため,周囲の理解が得にくい状況が広く存在しています。

そのため二次障害を併発しやすく,就労困難・生活困難を引き起こすケースが多くみられま 

す。

  能力の凸凹はあるものの,得意な面や優れた面を発揮できる仕事につけば,社会に貢献できる

 力を持っている人たちです。

広島市は,ハローワークや大学,障害者就労に関する機関や企業等による様々な職種での受け入れや,職種の開拓の促進などに積極的に取り組んでください。

同時に,広島市職員の障害者採用枠に発達障がいを含め,広島市が積極的に障がい者就労を促進する姿勢を示めしてください。

広島市に在住する発達障がい者の完全雇用率を実現するためのビジョンを持ち,発達障がい者の雇用促進のための助成金や行政・企業・保護者等による懇談会の開催など,行政主導の取り組みを進めてください。

引きこもりや欝などの二次障害のため,すぐ就労に結びつきにくいケースが多く発生していることに対しても,発達障害者支援センター,広島市精神保健福祉センター,引きこもり支援センター,広島障害者職業センターが情報を共有し,連携して一貫した支援ができるようにしてください。

 

 

 

5. 発達障がいを診断できる市立病院の整備を進めてください。

早急に,広島市医師会が行う発達障がいに関する研修に,市立病院小児科医の参加を実現してください。

また,当面,発達障がいを診断できる広島市立の病院を確保し,広く市民に知らせてくださ 
  い。

深刻な医師不足解消に向け,発達障がいに詳しい医師の確保に努め,医療の質を向上させるために,こども療育センターとの連携を図ってください。

そして,全ての広島市立病院で子ども大人を問わず,発達障がいの診断や治療や療育が出来るようにしてください。   

各病院に,子どものための小児精神科,成人のための精神科や心療内科がなければ,出来るだけ早く新設してください。

  

 

6. 放課後児童ディサービスの内容の充実を進めてください。

放課後等児童ディサービスを行っているところは,広島市に100か所近くあり,現在も増えています。

ところが,広島市は,発達障害者支援法に基づく放課後等児童ディサービスの内容に,学習支援を認めていません。

学習支援を実施している地方自治体は多くありますし,とりわけ,発達障がい児は特性の軽減や障害への支援を考えた場合,学習支援を外すことはできません。

一般の塾に,特性に対する配慮を前提とした指導を求めることは不可能です。

是非とも,放課後等児童ディサービスで,学習支援を行ってください。

また,現在,広島市の放課後等児童ディサービスの内容には大きな差があり,発達障がいに対する専門性が乏しい現実があります。

すべての利用者が,特性や課題に対する適切な支援が受けられるようになるために,広島市は,放課後等児童ディサービスを行っている機関のネットワークづくりと専門性を高めるための研修の機会の提供を行ってください。

保護者が放課後等児童ディサービスを選ぶにも情報が少なく,限られた中で見学をして決めている状況です。

各放課後等児童ディサービスが行っている主な取り組みごとに,一覧表を作成し,ホームページやパンフレット等で,情報を提供してください。

 

 

 

7. 精神障害者保健福祉手帳の改善を行ってください。

発達障がい者独自の特性の理解推進のために,精神障害者手帳に発達障害を明記してください

現在発達障がいを持つ人は精神障害者保健福祉手帳を取得するようになっています。

精神障害者保健福祉手帳は,発達障がいだけでなく,統合失調症などの精神疾患,うつ病などの気分障害,薬物やアルコールによる依存症等,様々な疾患を持つ人に交付されています。

しかし,発達障がい者は,発達障がいの特性に対する配慮や支援を必要とするものの,必ずしも精神疾患を持たないことも多く,いわゆる精神障がい者とは異なる課題を抱えています。

しかし,現在の精神障害者保健福祉手帳ではそのことは伝わりません。

この解決のために,精神障害者手帳に発達障害を明記してください。また,いろいろな支援を受け続けるためには金銭的負担も多いため,他の障がい者と同レベルのサービスや支援が受けられるようにしてください。

 

 

 

8、 発達障がい児・者の早期発見から就労までの総合的な支援を具体的に

  示してください。

発達障がいに関係する課題を取り扱う機関や部署の連携を深めるための組織を作り,発達障害者支援法をどのように具体化するのか,ビジョンを具体的に明らかにしてください。

現在実施されている取り組み(不登校・引きこもり問題,三子ども療育センターの療育と就学前や学校教育及び放課後児童ディサービスの連携,就労問題など)について,関係部局がそれぞれ取り組むのではなく,相互に補完し合って充実した内容にしてください。