平成28年度発達障がいのある人に対する特別支援の充実を求める要望書

 

広島市長    松井一實様

こども未来局長 滝川卓男様

健康福祉局長  糸山 隆様

 

クローバーの会(発達障がい児を持つ親の会)

代  表     村  主  裕  子

 

 

要  望  項  目

 

1.   広島市版の発達障がい者サポートガイドを作成してください。

 

(現状)広島市のホームページや各相談機関がそれぞれに発達障がいに関するパンフレットなどを発行し、情報発信されていますが、情報が一元化、体系化されておらず、親や当事者が必要な情報を直ぐに得ることができません。

(要望)誕生から親亡き後の生活までの不安など、節目節目に立ち現われてくる悩みや問題に対応できるよう、医療、教育、福祉、労働、司法などの機関が連携して具体的な支援の情報をまとめた冊子やHPを作成してください。埼玉県所沢市の「発達障がいと生きていくためのサポートガイド」を参考にしてください。

 

 

2.5歳児健診で、すべての発達障がい児の発見を目指してください。

  

(現状)現在5歳児健診を段階的な実施に向けて取り組みが行われているとはいえ、「5歳児健診制度」ではありません。5歳児発達相談です。

5歳児発達相談では、LD児や受動型自閉症スペクトラム児などを中心に多くの発達障がいをもつ子どもたちの発見漏れが生まれています。

小学校入学後に発見されるのは良い方で、思春期や後期中等教育段階になって発見される子どもがあとを絶ちません。

   (要望)広島市が実施される5歳児健診及びその前段階でのモデル事業においては、健診漏れ・発見漏れ・対応漏れのないようにしてください。小児科医や保健師などの研修はもちろん、発達障がい、特に受動型の自閉症スペクトラム児やLD児を把握するための検査方法を取り入れ、高い専門性をもった発達相談員(仮称)を養成配置してください。

 

 

3.発達障害者支援センターと三子ども療育センターの拡充と機能の充実を図ってください。

  

(現状)広島市子ども療育センター内には、発達障がいをもつ子どもたちのための療育部門として、幼児対象・小学校対象が設置され、各6か月コースで、その上定員20名です。これでは、ほとんどの発達障がい児が療育を受けられません。

   (要望)広島市三子ども療育センター内に、発達障がい専門の療育部門を設けてください。また、単独の児童発達支援センターを設け、作業療法士・言語聴覚士など必要な人員の大幅増員を行い、一人一人の子どもたちが充分な療育が受けられるようにしてください。

 

 

4.発達障がい者の就労を促進してください。

  

(現状)障がい者が就労する企業は増えていますが、就職を希望しながら無職のままの発達障がい者も依然と多く存在しています。また、就職しても、企業側が発達障がい者の特性を理解できないために就労を続けることが難しい状況があります。また、企業と障がい者との橋渡しにあるハローワークが企業の要求に合わせようとしているため支援の仕方を伝える役割を十分に行っていません。そのため、正式な就労に成り立っていない事例が数多く起こっています。

   (要望)広島市職員に発達障がい者を正式採用してください。そして、ジョブライフサポーターを増員し、障がい者の雇用拡大や職場定着の支援を行ってください。また、企業に対して、発達障がいについての啓発を進めてください。

 

 

5・放課後等児童ディサービスの内容の充実を支援してください。

  

(現状)発達障がい児・者は、その特性から、自立支援に結びつくコミュニケーション力や言語力の向上、聴く力・ワーキングメモリーの向上などの支援が必要です。

   これらの療育は、現在の療育機関や教育機関の取り組みでは不十分で、学習支援の機会の確保が必要です。

    放課後等児童ディサービスが増加する中、親は我が子に合った事業所選びがしたいと思っていてもなかなか情報が得られない現実です。

(要望)放課後等児童ディサービスの質の向上を図るために、市としても、研修会の実施や巡回指導などを行ってください。また、各区で結成されている放課後等児童ディサービス連絡会や各事業所へ、講師派遣を行うと共に専門性を磨くための研修に関するホームページを開設してください。そして、子どもたち一人一人の特性に応じた学習支援を進めてください。

 

 

6.市立病院に、発達障がいの診断、療育・治療ができる科を設置してください。

  

(現状)発達障がいの専門医は増えてきているが、まだ、圧倒的に不足しています。人気の高い多くの病院が、新患を受け付けていなかったり、数か月待ちだったりはざらです。思春期になると、子ども療育センターに行きたがらない子が多くいますが、大人とともに、発達障がいの診断や治療を行う公的医療機関はほとんどありません。

   (要望)市立病院に発達障がいを診断できる医師を増やし、診断・療育ができる科を増やしてください。

    また、親は、どこに、どのように受診したらいいのか等の情報をホームページで取り入れます。医師が転勤等で不在となっているなどHPの書き換えや相互の連携を図ってください。

    早急(1,2年の間)に大人の発達障がいで受診できるところを開設してください。

 

 

7.引きこもり対策を充実してください。

 

(現状)発達障がいをもち、引きこもりになっている人は、多くいます。

その多くが親や家族とのコミュニケーションが成立しにくく、外部からの支援も受けていません。特に、親が高齢になっている場合は、悩みも深刻ですが、相談できる場所が少なく、クローバーの会にも相談の声がよく寄せられます。

 また、学齢児や中等教育を受けている者の中には、不登校から引きこもりに進み、学校いう学習の場とは違う居場所が必要なケースも多くあります。しかし、引きこもりに関する情報がほとんどなく家庭内暴力やDVなどの問題を抱えているケースも多く、家庭の責任で生活している状況です。

 (要望)18歳以下の不登校・引きこもりの子どもの学校機関とは異なる行き場(居場所)を作ってください。また、専門家を本人と家族のために派遣できるようにしてください。

 引きこもり関連施設や就労機関・施設側の連携を強めてください。

 

 

8.精神障害者保健福祉手帳の改善をしてください。

   

(要望)全国自閉症協会など、発達障害に関する団体が、国に発達障害者手帳の新設を要望していますが、それに先駆け利便性を図るため、広島市は精神障害者保健福祉手帳に、発達障がいを明記するようにしてください。