発達障がい(LD・AD/HD・自閉症)がある児童・生徒に対する特別支援教育の充実を求める要望書
広島市長 松井一實様
広島市教育委員会教育長 尾形完治様
クローバーの会(発達障害児を持つ親の会)
代 表 村 主 裕 子
要 望 項 目
1. 通級指導教室の増設について
平成18年度から,発達障がいを持つ児童・生徒の通級による指導が法令化されました。
「17文科初第1178号」を受け,広島市の通級による指導の整備を行ってください。
通級による指導教室の名称を,現在の通級指導教室(言語障害)は通級指導教室(LD・ 言語障害),通級指導教室(情緒障害)は通級指導教室(ADHD・自閉症)に,早急に変更してください。
すべての小中学校において,通常学級に在籍している発達障がい(AD/HD・LD・自閉症)のある児童・生徒が,各個人のニーズに適した指導を受けられるように,早急に専門的な指導のできる教員を養成し,全校に通級指導教室を増設するよう計画的に取り組んでください。
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当面、小中学校においては,いずれかの通級指導教室が各中学校区に最低でも1校以上設置されるようにしてください。
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幼児対象の通級指導教室を新設してください。
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発達障がいの診断名を持ち、保護者が希望すれば、必ずどこかの通級指導教室に通えるようにしてください。
2. 発達障がいのある児童・生徒の不登校対策について
発達障がい(AD/HD・LD・自閉症)のある児童・生徒の不登校は,不適切な対応や配慮不足による二次障害として起きていることを前提に,特別支援教育の一環として専門的対応をしてください。
現在各中学校区に配置されているスクールカウンセラーは,発達障がいについての専門知識を持った人を任命してください。また,的確な対応が出来るよう研修を義務付けてください。
「ふれあい教室」は現在の3か所から各区に設置し、発達障がいのある児童・生徒に専門的な対応ができる教諭を配置してください。
また、「ふれあい教室」は明るく開放的な施設に設け、同じ場所に相談部門や引きこもり支援センターなど関連する機関を集め、総合的な対応ができるようにしてください。
各学校で教室に入れないがふれあい広場等に登校できる児童・生徒に対しては,ふれあい担当者だけでなく担任や各教科担当者が連携を取って児童・生徒を支える体制づくりを進め,所属の通常教室に入れたり学校行事に参加させたりすることを目的にしないでください。
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3. 巡回相談,及び校内体制と研修の充実について
発達障害相談員を各区に配置してください。各校の発達障がいがある児童・生徒の実態把握と継続的指導を基本として,必要な回数だけ何回でも(最低でも月1回)行えるようにしてください。
また,子ども療育センターの保育士や広島大学にこにこルーム心理士などの学校訪問が,保護者が要望すれば,校長判断で利用できることを各校長に徹底してください。
発達障がいの認識は広がってきていますが,特に,LD(ディスレクシアといわれる読み書き障害)や不登校になりやすいと言われるPDD受動型を中心に、発達障がいのある児童・生徒かどうかの見極めや,通常学級などでの支援方法や内容については,決して進んでいるとは言えない状況です。
平成19年4月1日に文部科学省より通知された「特別支援教育の推進について」の中では,配慮の必要な生徒について,校内委員会の機能を充実させて校内体制を整えさせるということが明記されています。しかし、校内委員会は特別支援学級児童・生徒や食物アレルギーなどを持つ児童・生徒の話が中心で、発達障がいを持つ全児童・生徒を取り上げていない学校も多くみられます。
早急にすべての学校の校内体制の充実を図り具体的な手だてを取るために,校長会や特別支援教育コーディネーターの会合で取り上げてください。
具体的には、発達障がいの疑いのある児童・生徒の発見と手だてを行う目的で,各校に定期的に専門家の派遣し,校長や教頭や特別支援教育コーディネーターや学年主任や担任が保護者の要望を聞き取り,必要に応じて速やかに専門的助言が受けられたり,校内で全ての発達障がい者やその疑いのある者について具体的な支援方法を検討したりして,すべての教職員が共通認識を持って取り組めるようにしてください。
4. 公立高校入試の特別措置と中学校の定期テストにおける配慮と,
特別支援学級在籍の児童や生徒の内申書作成の周知徹底について
公立高校入学試験の際に,発達障がい(AD/HD・LD・自閉症)のある生徒も特別措置ができること,また,特別支援学級在籍の児童や生徒に対して通常学級と同じ内申書の作成ができることについて,全ての小中高等学校の教職員全員と保護者に周知徹底させるための措置(全教職員対象の研修伝達や、入学式等での保護者への説明や市民広報や学校便り等の活用)を行ってください。
同様に,中学校や高等学校の定期テストにおいても同じ措置ができることを各中学校の教職員全員と全保護者に周知徹底し,個々のニーズや特性に合わせた配慮を行うために、経験交流や研修の機会を設け一人でも多くの生徒が権利を享受できるようにしてください。
全国学力テストの実施にも、同様の措置を行ってください。
具体的な配慮の例
・書字や読字困難な生徒への時間延長
・書字困難な生徒に対してキーボードの使用
・読字困難な生徒に音声読み上げ
・音韻認識や聴覚的情報記憶が困難な生徒には聴覚障害と同様の代替措置
・聴覚過敏のある生徒の別室試験
・空間認知や視知覚に困難がある生徒には問題と解答を同一用紙に
5. 行政による就学時相談の改善について
発達障がいについて専門知識を持っている人が,田中ビネー知能検査ではなく,WISC―ⅣやDN―CASなどの特性をみる検査を行い,保護者への説明時には検査結果のデータをきちんと渡してください。また,発達障がい児の実態を正確に把握したうえで就学判断を行い,保護者の願いや不安に丁寧に答えながら協議を進める相談に基づいた活動にしてください。その際,進学先を通常学級か特別支援学級かの二者択一で行うのではなく,平成18年より実施されている「通級による指導の対象とすることが適当な自閉症者,情緒障害者,学習障害者又は注意欠陥多動性障害者に該当する児童・生徒について(通知)」の趣旨を十分踏まえ,「通級による指導」があることを保護者に知らせ,見学や授業参観等を行うなど丁寧で柔軟な対応をしてください。
その際,発達障がいがあれば通級指導教室(情緒障害)と決めつけるのではなく,言語面や認知面の課題があれば,通級指導教室(言語障害)も対象であることを踏まえてください。
「通級による指導」について,幼稚園や保育園などに通っている就学前の保護者に周知徹底するとともに,「市民と市政」などで啓発を行ってください。
6. 特別支援教育アシスタントの研修を義務づけと,人員の大幅増員について
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個別の支援を必要とする通常学級在籍の発達障がい児やその疑いのある児童・生徒に対して,全てのクラスに,特別支援教育アシスタントが少なくとも1名配置できるよう,人員を増員してください。
採用に際しては,一定期間の研修を行い,専門知識や技能を習得した上で配置してください。
一定期間の研修をした上での配置ができないなら,今後退職教員を時間講師と同じ報酬を持って採用し,アシスタントとして配置してください。
8. 広島市発達障がい児教育ビジョンの具体的作成について
広島市として発達障がいのある児童・生徒の保育・教育をどのように進めて行くのか,そのビジョンを具体的に明らかにしてください。
広島市に在住する発達障がいのある幼児・児童・生徒の保育・教育を行うために,施設・設備の新増設を含む充実のための計画や,マンパワーの養成や教育内容の充実や教材開発の具体的な中長期計画を作成してください。
その際,以下の内容について盛り込んでください。
・発達障がいのある子どもたちに対する多様な教育形態(20人学級,リソースルーム,通級に
よる指導,多様な職種による複数担任制など)
・不登校対策と発達障がいのある生徒を対象とし,ゆったりした教育過程を持つ中高一貫校の新設
・高等養護学校の新設と発達障がい児コースの設置
9. 大手町商業高校の昼間の定時制の定員増について
大手町商業高校の昼間のコースは,希望者が多く,倍率は県下の公立高校の中でも群を抜いています。ゆったりした教育課程が必要な発達障害を持つ本人や保護者には,昼間の定時制への強いニーズがあります。学級増を行い,門戸を広げてください。
また,昼間部と夜間部の混合授業の実施後も,引き続ききめ細かな対応を行ってください。
県教委との協議されている定時制高校の統合についても,保護者や関係者の意見を聞く場を設けてください。