発達障害(AD/HD・LD・PDD)がある児童・生徒に対する

      特別支援教育の充実を求める要望書

                                    

 平成22年8月
広島市長         秋葉忠利様 クローバーの会 
広島市教育委員会教育長  濱本康男様  


                                              
要  望  項  目

. 通級指導教室の増設について

すべての小中学校において、通常学級に在籍している発達障害(AD/HD・LD・PDD)のある児童・生徒が、各個人のニーズに適した指導を受けられるように、早急に専門的な指導のできる教員を養成し、通級指導教室を増設してください。
・小学校においては、通級指導教室(言語障害・情緒障害)をそれぞれ各中学校区に最低でも  1校以上設置してください。
・中学校においては、それぞれ最低でも各区に
1校設置してください。
・具体的には、瀬野小学校・安小学校・沼田地区の小学校、
       安佐中学校・国泰寺中学校・観音中学校・井口中学校に設置してください。
 

. 発達障害のある児童・生徒の不登校対策について

発達障害(AD/HD・LD・PDD)のある児童・生徒の不登校は、不適切な対応や配慮の不足による二次障害として起きていることを前提に、特別支援教育の一環として専門的な対応をしてください。
現在各中学校区に配置されているスクールカウンセラーは、発達障害についての専門知識を持った人を任命してください。また、的確な対応が出来るよう研修を義務付けてください。
「ふれあい教室」(中・西・北)は、発達障害のある児童・生徒に専門的な対応ができる教諭を配置してください。
教室に入れないがふれあい広場等に登校できる児童・生徒に対しては、ICTを活用して授業を受けられるようにしてください。
また、学校に来れない児童・生徒には、授業のDVDの貸し出しなど、ICTを活用した取り組みを進めてください。

 

3.公立高校入試の特別措置と中学校の定期テストにおける配慮について

公立高校入学試験の際に、発達障害(AD/HD・LD・PDD)のある生徒も特別措置ができることを、各中学校に周知徹底させてください。そのために、通達を出すだけでなく、校長会・教頭会・進路指導担当者会・コーディネーター研修会等で充分な説明を繰り返し行ってください。
中学校の定期テストにおいても、個々のニーズや特性に合わせた配慮を行うよう各中学校に周知徹底し、交流や研修の機会を設けて研鑚を深めてください。
 具体的な配慮の例
  ・書字や読字困難な生徒への時間延長  
  ・書字困難な生徒に対してキーボードの使用
  ・読字困難な生徒に音声読み上げ
  ・音韻認識や聴覚的情報記憶が困難な生徒には聴覚障害と同様の代替措
  ・聴覚過敏のある生徒の別室試験

  ・空間認知や視知覚に困難がある生徒には問題と解答を同一用紙に


4.巡回相談の充実について

各小中学校への巡回相談は、各区毎に担当の専門家を配置して、各校の発達障害がある児童・生徒の実態把握と継続的指導を基本として、必要な回数だけ何回でも(最低でも月1回)行えるようにしてください。
また、保護者が要望すれば、子ども療育センターの保育士や広島大学にこにこルーム心理士などの学校訪問は、校長判断で対応できることを各校長に徹底してください。

5.発達障害のある児童・生徒のための特別支援学級設置について

知的障害を伴わない個別の指導を多く必要としている発達障害(AD/HD・LD・PDD)のある児童・生徒が保障されている学習の場は、通常学級か特別支援学級(自閉症・情 緒障害)しかありません。アメリカのリソースルームのような、知的遅れのない発達障害を持つ等質の子どもだけの学級を設置してください。
当人や保護者が希望すれば、通常学級と同じ成績票や入試のための内伸点を出してください。

6.研修の充実について

発達障害についての認識は一頃に比べると広まってきています。しかし、具体的に発達障害のある児童・生徒かどうかの見極めや通常学級などでどのような支援を行って行くかについては、決して進んでいるとは言えない状況が続いています。これらの現状を乗り越え、具体的なニーズに合わせた取り組みが行われるように、校長や教頭や特別支援コーディネーターだけでなく、すべての教職員の研修を行ってください。

 

7.広島市発達障害児教育ビジョンの具体的作成について

広島市として発達障害のある児童・生徒の保育・教育をどのように進めて行くのか、ビジョンを具体的に明らかにしてください。
広島市に在住する発達障害のある幼児・児童・生徒の保育・教育を行うために、施設・設備の新増設を含む充実のための計画や、マンパワーの養成や教育内容の充実や教材開発の具体的な中長期計画を作成し、順次推進してください。
その際、市教委の担当者だけで行うのではなく、専門家をはじめ親の代表や当事者(成人)も計画立案に直接関わらせてください。
盛り込んで欲しい内容
・発達障害のある子どもたちに対する多様な教育形態(リソースルーム、多様な職種による複数担任制など)
・不登校対策と発達障害のある生徒を対象とし、ゆったりした教育過程を持つ中高一貫校
・高等養護学校の新設と発達障害児コースの設置
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