現在、高校1年の男子の母です。息子は中1の終わりにアスペルガー症候群と診断されました。中1の終わりごろから中3まで不登校でした。中1の頃は週 1、2回学校を休む程度でしたが、中3の頃にはふれあい教室に週2回くらい顔を出してもすぐ家に帰ってきてしまう状態でした。約2年間の息子の不登校の経験から、私の感じたことを少し書きたいと思います。
 
 息子は初めからあまりふれあい教室には、なじめませんでした。1年年下のふれあいに来ている生徒さん達は、漫画を書くのが好きだったり、DSを持ち込んで遊んだり(その事が良いか悪いかは別として)、ふれあい教室が自分達の居場所になっているようでしたが、息子の場合は違いました。同じ学年で同姓の生徒 があまりいなかったこともありますが、それだけの理由ではなかったように思います。
 
 ごくたまに自分のクラスに入って授業を受ける事があっても『授業中は授業を受けていればいいからまだ楽、休憩時間はどうしていいか分らないから居ずらい。』と言っていました。ふれあい教室では自由にしていい、何をやってもいいと言われながら、話す相手も居らず、何をしていいか分らない時間がとても苦痛だったのだと思います。元来、勉強が好きではないこともあり、ふれあい教室で自分のやりたい勉強をしていいというのも難しいのです。
 
 その時には、その日その日が精一杯で、ゆっくり考える事ができませんでしたが、今思えば、好きなことばかりでなく、色んな教科のある程度の選択肢があって、その中で毎日自分で時間割を決めてから過ごせるようだと良かったのかも知れません。そして、そこにやはり先生か、または先生でなくても勉強を教えてくださる方が常時いてくださるとありがたいです。
 
 学校に行けなくなり、授業も出られなくなると、とたんに勉強が分らなくなり、勉強が分らなくなるとますますクラスに戻れなくなる、という悪循環を引き起こします。学力低下を防ぎ、学年に関わらず分らないところに立ち戻って基礎学力をつけていけるようなカリキュラムがあれば良いなと思います。そのうえで、 ただそれが備えれているだけではなく、やった事をその場で評価し、認めてくださる大人の存在が必要ではないでしょうか。学力の向上はもちろんですが、やった事を認めてもらえることで、自信を持つ事につながるのではないかと思います。
 何日かでもクラスに戻れるくらいになった子どもには、クラスで授業している様子をビデオに撮って見せてあげるのも、不安が少しでも解消されて良いかも知れません。
 
 息子は中3の1年間、ふれあい教室とは別に週1度、通級学級に通わせていただきました。なかなか自分の気持ちを話そうとしない息子ですが、やはり専門の先生だけあって、何ヶ月かするうちに、先生に悩みなど相談できるまでになりました。
 
 高校生になってからも最初のうちはクラスになじめず、通級学級の先生に電話をして、会って話しを聞いていただいたりもしました。
 
 通級学級では普段は勉強はしないのですが、試験前には勉強を見ていただいていたようです。高校入試前には、各教科の対策プリントをきちんと製本してくださいました。自分で何をしたらいいのか分らない息子にはとてもありがたかったです。
 
 私にとりましても、うちの場合は一般的な高校入試の話しを聞いてもあまり参考にならず不安な事ばかりでしたが、入試の事、子どもの事など相談にのっていただき心強かったです。

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